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第十五章 夜明け

last update Última actualización: 2026-01-23 11:07:31

2人は催事場広場に背を向けて、

中央階段へ向けて歩き出す。

唯一の出口である、西口非常口に向かっていく。

その足取りはゆっくりで、確かで、重かった。

夜通しデパート内を走り回り、階段を上り下りした2人の体は限界に近かった。

通路を進むと、

右側には――静まり返ったフードコートが見える。

逃げながら倒れ込んでいった男性の姿が、ふと、そこに重なるように見えた気がした。

……もちろん、誰も居ない。

美咲は小さく息を吸った。

「……ここで、最初の犠牲者。」

悠は黙って頷く。

さらに進むと、遠くに鏡迷路が見えた。

小さく映る2人の顔と目が合う。

鏡が外から差し込む光を拾い、淡く反射している。

「……まだ、居るのかな。」

悠の言葉に、美咲は小さく笑った。

「大丈夫だよ。もう、いない。

鏡の中のあたしの顔、ちゃんと見えるもん。」

鏡の中の美咲は、同じ顔で微笑んでいる。

2人はその奥に見える通路の先、

男性トイレの表示に目を向けた。

柳瀬が死んだ場所。

這いずり女を見た場所。

「……柳瀬の終わりの場所。あたしにとっては、ここが始まりだったけどね…。ホントに怖かったよ…。」

「…美咲が俺を呼びに入った
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    2人は催事場広場に背を向けて、中央階段へ向けて歩き出す。唯一の出口である、西口非常口に向かっていく。その足取りはゆっくりで、確かで、重かった。夜通しデパート内を走り回り、階段を上り下りした2人の体は限界に近かった。通路を進むと、右側には――静まり返ったフードコートが見える。逃げながら倒れ込んでいった男性の姿が、ふと、そこに重なるように見えた気がした。……もちろん、誰も居ない。美咲は小さく息を吸った。「……ここで、最初の犠牲者。」悠は黙って頷く。さらに進むと、遠くに鏡迷路が見えた。小さく映る2人の顔と目が合う。鏡が外から差し込む光を拾い、淡く反射している。「……まだ、居るのかな。」悠の言葉に、美咲は小さく笑った。「大丈夫だよ。もう、いない。鏡の中のあたしの顔、ちゃんと見えるもん。」鏡の中の美咲は、同じ顔で微笑んでいる。2人はその奥に見える通路の先、男性トイレの表示に目を向けた。柳瀬が死んだ場所。這いずり女を見た場所。「……柳瀬の終わりの場所。あたしにとっては、ここが始まりだったけどね…。ホントに怖かったよ…。」「…美咲が俺を呼びに入ったトイレさ、もしかしたら違う次元だったのかもな。美咲を帰したくなくて、柳瀬がやったんじゃないか?」美咲は目を丸くしたが、妙に納得してしまう。ありえない事なのに、このデパートならありえるからだ。「そうかもしれないね…」美咲は、誰も居ない空間に向けて囁いた。反対側の廊下の奥を見ると、化粧品売り場のカウンターが薄暗い光に浮かび上がっていた。もう、何かが滴り落ちる音は聞こえない。そして、美咲と悠は中央階段で2階へと歩みを進めた。2階まで階段を上がりきり、ふと上を見上げてみた。二階踊り場――宙吊り男がぶら下がっていた場所が、静かにそこにあった。「……俺たち、全部、通ってきたんだな。」悠がぽつりと呟いた。2人は階段フロアから通路に出ると足を止めて、右側通路の方に顔を向けた。そこには、熱帯魚売り場の水槽が見えた。もう、水の音も揺らめきもない。西口非常口に向かうため、中央階段から左方向へ歩みを進めた。楽器店のショーウィンドウの前を通る。店内は闇に溶け込んでいた。手袋も、音も、もうない。(……ありがとう。見守っててくれて…)美咲は心の中で、そっとデパート内の“全員

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